top of page

ベルギーの言語事情

  • 執筆者の写真: Rina Nozawa
    Rina Nozawa
  • 4月3日
  • 読了時間: 3分

ご存知の方も多いかもしれませんが、ベルギーの公用語はフランス語とフラマン語、ドイツ語です。南部のワロン地方では主にフランス語、北部のフランダース地方ではフラマン語、そしてドイツとの国境沿いに位置するワロン地方東部のリエージュではドイツ語が話されています。ちなみにブリュッセルは、地理的にはワロン地方に位置しているにも関わらず、フランス語が主に使用されています。


教育を受けたベルギー人の大半はフランス語とフラマン語に加え、英語を話すことができます。それぞれの地域での公用語に加えフランス語またはフラマン語が小学校で教えられているからです。学校によりますが、早い段階で英語の授業も導入されます。そしてビジネスの場では、フランス語ネイティブ話者とフラマン語ネイティブ話者が集まると自然と英語で会話が進みます。ブリュッセルに引っ越してきて約1年半が経ちましたが、これまでに英語でコミュニケーションができなかったのは主に子供の保育園の先生と、病院の看護師や麻酔科医でした。


そのため、私はベルギー在住の通訳者とは名乗っていますが、日本語と英語だけの通訳として活動してきました。フランス語は完全に初心者です。若い頃スペイン語をかじったことがあるのでフランス語の文章を読むだけならなんとなく察しがつきますが、発音は全く違うのでなかなか上達しません。


初心者クラスで四苦八苦している私とは対照的に、3歳の息子は既にトライリンガルです。1歳半でベルギーに引っ越してきた時、すぐにフラマン語とフランス語のバイリンガル保育園に通い始めました。バイリンガルとはいえブリュッセルにある保育園なので、主にフランス語が話されていました。息子は数週間のうちにフランス語を理解し始め、数ヶ月後にはカタコトのフランス語が話せるようになっていました。そして約9ヶ月前にフランス語と英語のバイリンガルの幼稚園に移り、今では日本語、英語、フランス語を操るトライリンガルです。日本のみの環境で育ち、英語を必死に勉強した私とは全く異なります。息子の友人のほぼ全員が少なくとも3ヶ国語を話します。例えば、幼稚園で使うフランス語と英語に加え、父親の母語のドイツ語と母親の母語のポーランド語を話す子がいます。それから、父親の母語のハンガリー語と母親の母語のロシア語、フランス語、英語を操り、さらにはデンマーク語(両親が二人の間で話す言葉)まで理解します。


以前読んだ『言語の力 「思考・価値観・感情」なぜ新しい言語を持つと世界が変わるのか?』によれば、複数の言語を話すことは様々な益をもたらし、何と認知症リスクを軽減するそうです。ベルギー人やブリュッセルに住む多言語話者たちの脳って健康に違いありません。


ベルギーでは母語の異なる人々が日常的に共存するからこそ、互いをつなぐコミュニケーションの重要性がより際立ちます。このような環境の中で、通訳として言葉を単に置き換えるのではなく、その背景にある文化やニュアンスをしっかりと届けることの重要性を強く感じています。言葉を通して人と人をつなぐ仕事を、この街でこれからも大切にしていきたいと思います。



 
 
 

最新記事

すべて表示
ベルギー・ブリュッセルでの日本語通訳

私は昨年の5月からブリュッセルを拠点に日本語・英語の通訳サービスを提供しています。ベルギー国内で日本語通訳をお探しの企業様・団体様からご依頼をいただき、様々な分野の案件(同時通訳、逐次通訳)に対応してきました。 ロンドンでの版権会社・出版社勤務を経て、都内広告代理店の社内通訳として日々同時通訳を担当していましたが、2018年にフリーとなりイギリスで活動を始めました。そして、コロナ禍にバミューダ諸島

 
 
 

コメント


bottom of page