通訳と翻訳の二刀流
- Rina Nozawa
- 2021年5月20日
- 読了時間: 2分
社内通訳時代、1日に4〜5時間を同時通訳に費やし、残りの時間は資料の読み込みと翻訳作業に当てていました。社内とはいえ広告代理店の通訳だったため、トピックは消費財からファーストフード、車、保険、金融、アルコール、医薬品、美容、旅行など様々でした。多岐にわたる分野の通訳と翻訳の両方をこなすうち、二刀流の相乗効果を感じるようになりました。そして現在でも両方続けています。音声を操る通訳と文字を操る翻訳は違うものですが、両方を行うことにはメリットがあります。
まず翻訳は、原文の内容をしっかり理解し、時間をかけて適切な言葉を選んで再現する作業です。推敲を重ねに重ね、読みやすい文章にします。この作業を定期的に行っていれば綺麗な言葉を生み出す力、つまり「日本語力」が身に付き、通訳をする際に訳出の品質向上に役立ちます。さらに形容詞一つをとってみても、翻訳中には様々な訳語が思い浮かびます。しっくりくる言葉が思い浮かばないときは、辞書や類語辞典を引いたり、調べ物をしたりして、最適な訳を考えます。このようにして表現の引き出しをたくさん持っておくことで、通訳中に適切な訳語が瞬時に出てくるようになります。また両刀使いをしていると、自分が通訳を担当する会議の資料の翻訳を依頼されることがあります。事前に資料を翻訳すると背景知識がしっかりと頭に入り、通訳の質が向上します。
逆に通訳、特に同時通訳の場合は敏捷性や瞬発力が求められます。話し手は待ってくれませんから、言わんとすることを瞬時に理解して訳出しなければなりません。瞬時に訳すことに慣れると、自然と翻訳作業のスピードが速くなります。そして通訳中に見聞きしたトピックが翻訳原稿の中に登場した場合は、原文の理解に役立ちます。
さらに二刀流には、リスク分散というメリットもあります。今回のコロナのように通訳の需要が冷え込んだ時は、翻訳の仕事を増やすことで食いつなぐことができます。もし通訳一本に絞って生計を立てていたならば、私は今ごろ途方に暮れていたでしょう。
このようにメリットが大きい通訳と翻訳の両刀使い。これからも継続していきたいと思います。


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