新たな拠点
- Rina Nozawa
- 2021年11月2日
- 読了時間: 5分
遠隔通訳が当たり前になってしばらく経ちました。対面会議とは異なる難しさがありますが、大きなメリットもあります。それは、どこに住んでいても通訳ができること。現在私は、このメリットを最大限に生かして働いています。というのも、家庭の事情でバミューダ諸島に住むことになったからです。今年の2月、ロックダウンの渦中に拠点を移しました。ロンドンにも家を残してきたので、今後数年はロンドンとバミューダを往復する生活を計画しています。

バミューダ諸島と聞いて、皆さんは何を連想されるでしょうか。私は「バミューダトライアングル」しか思い浮かびませんでした。てっきりカリブ諸国の一員なのだろうと思っていたのですが、実はカリブ海ではなく大西洋にポツリと浮かぶ島です。英ニューヨークからは飛行機で2時間ほど。週末を利用して南国へ行けるとあって、東海岸の住民には人気のリゾートらしいです。そのせいか、英国領であるにも関わらず「米国化」されているように思えます。島民たちは「英国的文化」を継承していると思っているらしいのですが、英国に住んでいた私からすると、アクセントから食べ物まで全てが米国風です。
この島の一番の魅力は、何と言ってもピンク色のビーチとエメラルドグリーンに輝く海。海は、ハワイに勝るのではないかと思われるほど綺麗で透き通っており、たくさんの魚が泳いでいる様子がビーチからでも見えます。スノーケリングにはうってつけ。さらに首都ハミルトンには港があり、ヨットや船が係留されているにも関わらず魚がたくさん泳いでいます。ジェットスキーツアーに参加した際には、港の中でウミガメを目にしました。

バミューダは、1500年代にスペイン人の開拓者により発見されていましたが、1609年にアメリカへ向かう英国の移民船が遭難してたどり着き、生き残った人々が定住しました。現在でも英国の海外領土で、エリザベス女王が貨幣に印刷されていたり、道路は左側通行だったり…など英国文化の名残が若干あります。英国の海外領土であるケイマン諸島と比較されることが多いのですが、バミューダ諸島もケイマン同様にタックスヘイブンです。そのため物価が高いことで知られています。ちなみに、現在2021年11月時点では、北欧の各都市を抑えて世界トップです。

バミューダ独自の文化といえば、バミューダショーツでしょう。「半パンにハイソックス」という幼稚園児のような格好ですが、歴とした正装です。ちなみに5月の最終金曜日は「バミューダデー」と呼ばれる祝日で、この日を境に正式に夏が始まり、バミューダショーツの着用が解禁されます。「バミューダデー」には、パレードが開催され、海開きが行われ、島民はこぞって海へ出かけます。5月に入ると気温が上がり海で泳げるので、私は「バミューダデー」を待たずに泳ぎ始めました。水温は思ったより高くありませんでしたが、日差しが強烈で肌が灼かれるため、海に入るとひんやりして気持ちよかったです。

バミューダの総面積は約53キロ平方メートル。細長い島で、端から端までは40キロほどです。この小さな島に人口6万5千人が住んでおり、現地人が約7割(そのうち半分以上が黒人、約3割が白人、残りがアジア系など)、移民は約3割(主にカナダ、南アフリカ、米国、西インド諸島出身)です。一年を通して比較的マイルドな気候です。夏は最高でも30度程度。湿度は日本の夏と同じほど高くなりますが、気温は30度を超えることがあまりないので、日本人にとっては最高です。10月に入ると少し涼しくなりますが、日差しは強いので12月まで海で泳げます。真冬の2月でも最高気温は18度程度と、沖縄の冬のようです。ただし冬でも湿度があまり下がらないですし、家には断熱材が使われていないので、屋内にいると寒く感じます。伝統的な家屋はバミューダコテージと言われていて、バミューダで取れる石灰石を使って作られています。外壁はベビーピンクやペールブルー、ペールイエローなどカラフルな色に塗装するのがバミューダ流。我が家もミントグリーンです。屋根は段々になっていて、真っ白に塗られています。真っ白な塗装は、日射の反射率を高めて家の中を涼しく保つためだとか。また屋根が段々になっているのは、雨水を貯めるため。貯まった雨水をそのまま生活用水と飲料水に使っています。そのため、元々は浄化作用のある石灰石の入った真っ白なモルタルで塗られていたそうです。カラフルな外壁と白い屋根は、青空の背景にとてもよく映えます。

バミューダは小さな島ですが、人口密度が高いので知り合いにしょっちゅう出くわします。移住したばかりで知り合いの多くない私でさえそう思うのですから、この島で生まれ育った人たちは行く先々で知り合いに出くわすのでしょう。街を歩いていると、「あら偶然、元気?」という会話がよく聞こえてきます。島に閉じ込められたように感じて鬱々とする「アイランド・フィーバー」(island fever)に陥ることもよくあるようで、気分転換に米国へプチ旅行に行く人が多いです。ニューヨークまでは約2時間、シャーロットまでは2時間半です。米国の入国検査をバミューダにいるうちに済ませてしまえるので、到着したら国内線の到着時と同様にすぐに空港の外に出られます。
移住当初は、住み慣れたロンドンからも祖国の日本からも遠く離れた土地での生活に戸惑いましたが、のんびりした島暮らしに少しずつ慣れてきました。ここにいる間に、仕事では米国市場を開拓し、プライベートでは南米諸国を訪れたいと思っています。


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